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スリランカを進出先に決め、資金のめどがつくと、早速、工場の建設にとりかかりました。
設計はT都市建築設計研究所に依頼し、工場の建設は、誘致に骨を折ってくれた地元の建築会社に委ねました。
工場の建設実績が豊富だということで、最初は安心して建設工事を任せていたのですが、重量鉄骨を使った建設工事の経験はないらしく、鉄骨を加工するところにはトラックの姿しかなく、天井クレーンもない有様でした。

これは大変なことになると思い、急いで宮崎県の本社から建設事業部の技術者を一人、技術指導のために派遣しました。
しかしいつのまにかおんぶに抱っこの状態となり、あらゆる面で頼られてしまい、しまいにはすべての責任をこちらに押しつけられそうになる気配がしました。このため、再三にわたりスリランカ側で責任を持って工程どおりの作業を進めてほしいと要請しましたが、いっこうに埓があきません。
作業は遅々として進まず、腹が立つこともしばしばでしたが、結局、人様のお国での工事だと思い直し、気長に交渉を重ねることにしました。
案の定、工期は9ヵ月ほどオーバーし、1995年9月になってやっと完成しました。
日本の感覚からすれば、何てルーズな国なのかと思うのが普通でしょうが、考えてみれば、天井クレーンもなく、あの重い鉄骨を、機械を使わず人手だけで組み立てたのですから大したものです。

私たちの思いもよらない方法でやってのけたことだけは、それなりに評価しなければいけないと思いました。そう思い直したのはよかったのですが、完成後半年して、とんだことが起こりました。
2トン車がちょっとぶつかっただけで、工場の門柱が倒れてしまったのです。普通ならこうした場合、トラックが壊れ、門柱はびくともしないはずなのですが、スリランカの建築会社が門柱に鉄筋を途中までしか入れていなかったので、門柱が倒れてしまったのです。
私は、建築会社の社長であるスリランカ人のD氏に連絡をとり、事情を説明したのですが、彼は、「私の会社に責任はない。お宅の会社が派遣した技術指導員に責任がある」といい張る始末です。
しかし私の会社は技術指導のために技術者を派遣したのであって、工事全体のスーパーバイジングは行ないましたが、現場の個々の工事まで一々監督し、指導するわけではありません。
現地の建築会社が設計図どおりの工事を行なえるようにアドバイスすることが仕事なのです。


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